【風友は1歳6ヶ月と28日】

風友に『ママ』と呼ばれること。

それが、今のあたしのちいさな幸せ…。

…だからあたしは時々、

あたしを呼ぶ時の風友の姿を思い出して、
そのちいさな幸せにそっと浸る。

…目の前には、いろいろな表情であたしを見つめる風友。

一緒に遊びたくて、あたしの気を引こうと、
「ママ…☆」
と、可愛らしく呼んでみたり、

あたしの状態に探りを入れるかのように、
「…マ、マ」
と、真顔でちいさく呼んでみたり、

眠りから覚めて、あたしを探して、
「ママ…っ」
と、眠気まなこで声を絞り出してみたり、

寄り添い、見つめ合いながら、
「ママ☆」
「かざ☆」
と、何度も呼び合ってみたり…。

…ね、
ママはね、こんなに簡単なんだ。

人間である以上は、
こうした平凡な幸せの他に、社会の中でさまざまな幸せを見つけることも出来るけれど、

今のママは…動物と同じ。

あなたを愛して、育てる喜びだけで、十分な幸せを手にしていると感じられるの。

お得だよね、幸せだよね…☆

…そしてあたしにはまだ、
大好きな旦那さん、家族、友達もいる。

本当に、幸せなんだ…☆

「…ママ…」

窓から吹き込む風が少し肌寒く感じる夕方。

眠りについた風友は、
寝言で、ちいさくあたしを呼んだ。

愛しくて愛しくて…、
こんな時は、本当に時間を止めてしまいたいとさえ感じる。

いつかあたしの命が尽きるときが来たら、
どうかこの瞬間を思い出したいと、

心から、そう思うほど…。

「風友、大好き…」

…頬にキスをしたら、

旦那さんが帰るまで、

あたしも、少し眠ろうかなと思います…☆