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7. 280日分の想い 「オンギャー、オンギャー…!」 ピュッチの力強い産声があたしを包む。 どんなにか聞きたかった、あたしたちの世界一の声…。 …途端、ものすごい安堵感に後押しされて、 280日分の想いが、堰を切ったように溢れ出した。 それは涙となって、 ポロポロ…ポロポロと、次から次へと流れ落ちる。 本当に良かった…。 「良かった…良かった…」 うわごとのように繰り返すあたしの言葉を、 旦那さんは、真っ赤な目をして聞いてくれる。 そして…、 「…産めないと思った…」 ついさっきまで、言う訳にはいかなかった弱音を吐き出す。 ピュッチ、ママ、頑張ったよ。 なんて…幸せなんだろうね…。 「赤ちゃん、お胸に行きますよー」 分娩着の紐がほどかれると、 あたしの裸の胸にピュッチがあてがわれる。 「重い…!」 初めて触れるピュッチは、 ずっしりと重みがあって…とてもあたたかかった。 うつ伏せであたしにしがみつき、 一生懸命に首を支えようとしているちいさなピュッチを、 あたしは思わずそっと抱きしめる。 「やっと会えたね…。ママだよ…」 …ずっと夢見てた言葉が、やっと言えた。 また涙が溢れてくる。 「かわいい…かわいい…」 愛しくて愛しくて、 あたしは涙も拭わずにピュッチを抱き続けた。 頑張って産まれてきてくれて、本当にありがとう。 ママも頑張ったけれど、 一番頑張ったのは、 ピュッチ、あなただよね…。 本当に、本当にありがとう。 そして、 お誕生日おめでとう、ピュッチ…。 『ハッピーバースデー』のBGMが流れるなか、 あたしたちは、 ピュッチの誕生の喜びを今、心から分け合った…。 次へ>> |





